ISISによる日本人捕虜の件、最初に提示されていた72時間は過ぎたみたいですが、報道を見るとまだISISからの動きがないようです。時間をかけてなんとか捕虜開放に向かってほしいと思います。
こういった国際的な捕虜事件を見るたびに思い出すのが、大学時代に受けた講義です。たしか国際紛争といったような題の講義だったのですが、その一部でイランアメリカ大使館人質事件をベースにしたシミュレーションを行いました。
かなり細かく人物設定がされていて、米国大統領やその側近、イラン政府、占拠しているイラン学生、捕虜など、一人ひとり役割が振り分けられ、(確か私は米国大使館に務める捕虜の一人だったはず)シナリオに基づき解決に向けて各自振り分けられた役割の中で解決していく、といったシミュレーションでした。私達がやった際は、最後に米国政府とイラン政府が交渉に成功し、捕虜は開放され、米国大統領役の子が簡単な演説をして終わったと記憶しています。
(おそらく交渉が決裂していれば、捕虜が皆殺しになるというシナリオもあったのだと思います。)
そして面白かったのが終わったあとのブリーフィング。
各役を演じた人がいろいろ感じたことを共有するのですが、大統領役の子(女性でした)は、「私はイラン政府との交渉では、相手側の金銭的な要求に対しては一切譲歩せず、それ以外の交渉力でのりきった」というようなことを言いました。
そして面白かったのが、次に発言した側近役をやった子の言葉。
「いや、実は大統領にも内緒で秘密裏にイラン政府と交渉していて、金銭の受け渡しをしていた。」
ということが明らかに。
大統領役の女の子もすごい怒って!!
側近役の子が言うには、大統領があまりに強硬で譲らず、交渉は膠着状態だったので、これ以外の解決方法はなかった、と主張。
同じチームでもお互い欺きあう必要が出てくる。
いや、たかがシミュレーションですが、本当に交渉の難しさを感じました。
実際の捕虜事件では、米国とイランでどのような交渉があったのかはわかりません。 ただ現在の米国政府のテロに対する対策は、「一切交渉しない」です。
米国人はおそらくどの国よりもターゲットになりやすい。交渉する姿勢を見せれば次々と捕虜にされことが予想される。
だから逆に捕虜が殺されれば報復措置に出る。去年米国人捕虜が二人殺されてしまいましたが、その後迅速に米国議会は動き、イラクやシリアにいるISISへの報復措置が行われました。
「我が国民が殺されれば、どんな仕返しが来るかわかってるんだろうな。」
睨みをきかせる。これが米国の姿勢ではないかと思います。
(やっぱりアメリカっていじめっ子?)
でもこんな姿勢、なかなか他の国ではとれない。
実際他のヨーロッパの諸国は何かしらの交渉をして捕虜が開放されている。
すごく難しい問題だと思いますが、日本も一億円くらい払って(20億ドルではなく。きっと捕虜に対する相場があるはず。)捕虜が開放されると良いなあ、と切に願っています。