今日も空が広い

アメリカの片田舎から思いつくままに…

教育

小さい子供がいる親として今後の教育は大きな課題です。
素人ながら、最近いろいろ教育論や政策について読んでますが、本当に悩ましい問題ですよね。

自由に学べる環境がいいのか詰め込み型の教育がいいのか。
得意なことを伸ばす方がよいのか、不得意な分野こそ投資した方がよいのか。
母語以外の言語を学ばせるにはどのようにしたらいいのか。


最近アメリカではブッシュ政権時代に成立したNo Child Left Behind(NCLB)法の見直しが進んでいます。現在ではいろいろ問題が指摘されている法律ですが、提起された2001年には共和党からも民主党からも大変サポートされた法律だったようです。
ざっくり言うと次の2点が目標だったのではないでしょうか。
(公立学校のみです。私立学校は対象ではありません。)


1) 計量できる目標値を設定し、それを基準に資金投入することによって学校そして教師が今以上に教育を改善すること。

2) 2014年まで100%の子供たちが各学年レベルの算数・読み書きができるようになること。


目標#1に関しては会社員としては分かりやすいですよね。売り上げ目標に達すればボーナスがでる、みたいな。可視化しやすい。全員に毎年標準テストを受けさせ、前年度と比べて成長度を測る。学校同士も比べやすい。実際、目標があるからこそ、補講が行われたり、夏季にも授業を提供するなどして、勉強が苦手な子にも時間をかけるという成果もあったようです。また、最終的には100%の子供たちという重い基準を州に課すことで、落ちこぼれを学校から排除して標準テストの成績をよくする、ということを防ごうとしています。


背景として、アメリカでは学区によって貧富の差がありそれに応じて教育環境の差が大きいということがあります。ひどい学区では、小学校1年生の初日に6割くらいしかこず、1ヶ月くらいかけてじわじわと100%になる、なんて学校もあるくらいです。(これは学校の問題ではなく家庭の問題です。)また公立学校はその地域に住んでいる住民税(?Property Tax)によって多くを運営されるので場所によってはすばらしい体育館、競泳プール施設、コンピューターラボ等がある学校がある反面、エアコンもなくトイレも壊れているなどきちんとメンテもされていない学校も存在している。(これは州によって違うのかもしれません。)


親に普通の収入があり、それなりに意識が高ければいい学区に移るために引越しをするので、行政も学校の運営を大事にするのですが、貧困層、親も大して教育をうけていない家庭が集まっているような地域はいっそう教育環境が悪化している。


それを改善しようとしたのがこの法律でした。教育の底上げですね。

http://en.wikipedia.org/wiki/No_Child_Left_Behind_Act
http://www.edweek.org/ew/issues/no-child-left-behind/


最近見直しがされている一番大きな理由は、2014年までに100%というゴールにぜんぜん届かないと現実があります。どうやってそこに到達するかは各州がそれぞれ考え、年々のゴールを定めるのですが、毎年目標値が高くなっているので、そこに到達できない学校が増えているというのが現状。とくに100%というのは、貧困層の子供たちのみでなく、自閉症学習障害がある子供、移民してきた子供たちも含むので、これらの割合が多い学校はなかなか打開策がうてない。(移民の子供たちに関しては、メキシコ系が多いので、スペイン語で受けられるテストを提供している州も多いようですが。)


また、目標に取り込む姿勢も州・学区・学校によってまちまちで、親も巻き込んで学校全体で取り組んでいるケースもあれば、教師の昇給と成果を結びつけて各教師の裁量にゆだねているケースもあるようです。(後者の場合、非常にまれなケースですが、あまりに厳しくしたため、教師が答案を書き換えていたという事件もありました。)

そして日本の受験勉強でも同様の問題がありますが、テストのために勉強させてしまう、という弊害もあります。この政策では平均点を高くする、というよりは、低い層を押し上げることが重要課題なので、教師によってはテストで求められる学力以上の授業をしなくなってしまう。


本当に難しい問題だと思います。


学力テストはするべきではないのか。
学校に子供の学力の成長度合いに責任を持たせるべきではないのか。
学力以外の成長はどのように評価するのか。
目標をさだめるというのは間違ってるのか。


そもそもいい教育ってなに。
どうやって教育をはかるの。
学校・教師・親・コミュニティーが常によりよい教育を目指すような仕組みとはどんなもの。


正直わからない。でもわからないながら、私が親としてどんな学校にいかせたいか。


校長先生にひかれるか
学校の先生が疲弊していないか、目に輝きがあるか
学校になにかユニークさがあるか
生徒に多様性があるか
あとやっぱり、学力テストの結果は気になる。。。


すぐ思いつくのはこれくらいですが、子供が学校に通うまでまだ時間があるのでじっくり考えてみたいと思います。