親:寒いからジャケット着なさい。
子供:やだ!!
親:いいから着なさい!!!!
子供:友達とコンサートにいきたい。
親:来週テストでしょ。勉強しなさい!
子供:やだ!絶対いく!
親ならだれでもこのような会話をした経験はあるのでは。本当にうんざりしますよね。
でもこの子供のやだという気持ち、大切にしたほうがいいという調査もアメリカではあるようです。
思春期になると、友達から飲酒、タバコ、(あとアメリカで怖いのはドラッグ)、その他様々な悪い誘いへの圧力がかかることがある。その時きちんと「NO」といえるのは、家族に対してもきちんと「NO」といえる環境に育っているかどうかである、という調査があるらしい。その調査によると、家でも「NO」を聞き入れてもらっている中高生は、聞き入れてもらえない中高生に比べて40%ほど多く、友達との関係でもきちんと断れるらしい。
家で「どうせ言っても無駄」と思っている子供は、友達にもきちんと自分の意見をいえない。 家での人間関係は、そのまま家の外の人間関係につながる。
これは決して親がいつも子供の反抗に屈するということではない。また口論してはいけないということでもない。要は口論の質が大事であるということ。
どなる、感情的になる、脅す、暴力をふるう、こういった言動には耳をかさない。当然大人もしない。そして子供が冷静に大人を説得しようとするときにはしっかりと耳を傾ける。大人も子供を説得する。決していつも子供に従う必要はない。妥協点を探る。たまには子供の主張を通す。
大事なのは子供のNOに耳を傾けること。きちんと言葉で説明させること。
人を説得するという大事な能力を培うこと。
これにはうーむとうなってしまった。
だってこれって大人にも人を説得する能力がないと厳しいですよね。
子供って本当に吸収が早いから、子供のほうが説得力があったりして。。。
だからついつい、「とにかくつべこべ言わず親の言うことを聞きなさい!!」って言いたくなるのよね。
悩ましい。。。。
と思ってさらにいろいろネットで見ていたら、小さいうちからあえて子供たちの説得力を育てているというブログを読みました。
http://www.figarospeech.com/teach-a-kid-to-argue
(英語のみ)
どうもブログの著者は、思想論の研究者みたいで著作物もたくさんある。
彼曰く、人を説得するには、アリストテレス先生の教えに従い、相手の「ロゴス(論理)」、「エトス(倫理)」、「パトス(感情)」にうったえればいいと。
ロゴスとは論理的に頭で考えさせること。どうして相手が自分の意見を受け入れたほうがよいのか、理由を考えること。
子供:ジャケット着たくない。
親: 風邪引いて大好きな保育園いけなくなるよ。
さらに著者は子供にも同じように相手の立場になって考えるよう促す。
子供:おにいちゃんがおもちゃ貸してくれない。
親:どうして貸したほうがいいと思うの?
子供:意地悪だから。
親:意地悪だから、おもちゃを貸したほうがいいの?
エトスは、信頼によって相手の票を勝ち取ること。たとえ論理的には説明できなくても、この人の言うことは聞いてもいいと思える関係ができていると説得も楽ですよね。
子供:ジャケット着たくない。
親: スカートは好きなものを選ばせてあげたよね。ジャケットは、ママの言うことを聞いてくれない?
親:どっちがクッキー食べちゃったの?
子供:私がいつクッキーを盗んだことがある?
親:確かに。じゃあ、お兄ちゃん!?
パトスは、感情に訴えかけること。
子供:ジャケット着たくない。
親: こんな寒い日にTシャツ一枚でいったら変な人に思われるよ。
子供:パパ買い物で疲れたんじゃない?
親:そうだね、どっかで休憩しようか。
子供:こっちにおいしいアイスクリーム屋さんがあるよ。
うーむ、難しい。書いていて、やっぱり人を説得するのって結構大変、と思わざるを得ないですが。。。(笑)
なかなか奥が深い、子育て道ですが、もうひとつ最後に付け加えると、うちでもすべてのケースでこのように対応しているわけではないです。
実のところ夫は「親が言うことはだまって聞きなさい」派です。どちらかというと。
でもこれもありかな、と正直思ってます。というのも、社会に出ると、確かに「つべこべ言わずやる!」というのも大事な能力だからです。
親によっては、子供が混乱しないように、教育方針を一本の軸にしぼってやっているところもあると思いますし、そのほうが良い部分もあると思います。でも私はどうせ社会に出るといろいろな価値観にぶつかることだし、と思い、いろいろ試しながら試行錯誤、えっちらおっちらやってます。(逆に子供の適応能力に驚くことが多いです。)
本当にどんな大人に育つやら〜