今日も空が広い

アメリカの片田舎から思いつくままに…

「告白」 湊かなえ を読んで

遅ればせながら、最近友達にかりました。
一気に読んでしまいました。<ネタばれあります>

リアリティーがない。
まず最初に感じたのはこれでした。特に最初の先生による独白。
冷たい。ロボットみたい。
平然と自分の娘の死んだ経緯を語る。
しかも重い現実、苦しい現実を丸なげし、関係者でない子供たちをまき沿いにしている。
子供たちにむりやりその重みを押し付ける。
ぜんぜん関係ないのに。
しかも全生徒の前で二人に呪いまで企てる。
いや、呪ってるのは1年B組すべての生徒かもしれない。

想像できない。

先生は、少年Aが作ったポシェットには、感電死までもたらす電力はないということがわかってる。
(実際感電死ではなく水死だったのだからそうだったんだろう。)
少年Bは、動揺して死んだと思って水に投げたと証言している。
普通だったらちょっとしたいたずらから勘違いを呼び、死に到ったと考えない?
そうしたらこんな復讐劇を考える? 
そもそも本当は少年Aに最初から殺意があったわけではなかったとしたら?
すべては先生の腹いせ?

先生と少年Aはよく似ている。
膨らむ泡が次々とつぶされていく。
ただ愛されたいだけなのに。

HIV、熱血先生、シングルマザー、青酸カリ、いじめ、ひきこもり、などなど目をひくトピックが次々出てくるが、上手にまとまっていて、妙に説得力がある。どの章も独白形式で、主観でしか物語が進行しないせいだろうか。たしか桐野夏生の「グロテスク」という小説も独白形式だったな。それぞれの主観でぐいぐいひっぱっていく。 「おいおい、それって、ちょっと、、、」と思うすきを与えない。


あと最後に一言。

「お母さん」はこれでもかというくらい小説の中で存在感があったのですが、「お父さん」は影うすっ!
本当に子育て、お母さん任せにしておくと、よいことないですよー。
バランスバランス。

依存は怖い〜